そのキャラの元ネタを知れば絶対好きになる!
実在の名所や、豆知識と共にFate/Grand Orderに登場するキャラのモデルとなった人物を紹介していきます。
きっとそのサーヴァントがどういう人物だったのか知れば、辛い攻略も周回も楽しくなるはずです!
今回は「すまないさん」こと、ジークフリートです。
※この記事は、筆者が本やインターネットを使って独自に調べてまとめたものであり、型月的、学術的に必ずしも正しいとは限りません。暇つぶし程度にお読みください。
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どんな人?
ドイツの叙事詩「ニーベルンゲンの歌」の主人公。
ニーベルング族から手に入れた、愛剣バルムンクを振るって、ドラゴンを倒した「竜殺し」「ドラゴンスレイヤー」
ドラゴンを倒した際にドラゴンの返り血を浴び、全身が甲羅のように固くなってあらゆる攻撃を弾く「不死身の英雄」となった。
ただ一ヵ所、菩提樹の葉が貼り付いていた背中を除いて……
ジークフリートは、北欧神話の英雄「シグルド」と起源を同じくする、もしくは同一人物とされる英雄です。
完全に同一人物としてしまっている場合も多々ありますが、Fateの世界においては「シグルド」と「ジークフリート」は別人ということになっているので注意です。
ニーベルング族から手に入れた、愛剣バルムンクや姿を消すことのできる隠れ蓑などを使ってドラゴンを退治したことで世界的に有名ですが、意外にもジークフリートの物語として最も有名な「ニーベルンゲンの歌」ではドラゴン退治はメインではありません。
「ニーベルンゲンの歌」の起源となる伝説は5~6世紀のころから存在しましたが、実際に「ニーベルンゲンの歌」が書かれたのは13世紀ころです。
韻を踏むように書かれていて、非常にリズミカルに読めるようになっているのですが、現在の言語では再現不能です。
大抵の叙事詩には作者名が書かれているのですが、この「ニーベルンゲンの歌」には作者名が無く、現在でも作者は不明です。
原本も存在せず、現在完全な形で残っているのは3つの写本(書き写し。写本A、B、Cと呼ばれる)のみです。
その中でも写本Bと呼ばれるものが有名です。
この3つの写本は、歴史的価値の高さから「世界の記憶」(以前「世界記憶遺産」と呼ばれていたもの)に登録されています。
なんで有名なの?
ドラゴンを倒した、「ドラゴンスレイヤー」と呼ばれる人たちは「ベオウルフ」や「ゲオルギウス」など何人も存在しますが、ジークフリートが彼等と違うところは「無敵」だというところでしょう。
前述したとおり、ジークフリートはドラゴンの血を浴びたことによって皮膚が固くなり、あらゆる攻撃が通用しなくなりました。
しかし、背中に菩提樹の葉が貼り付いていたところだけは弱いままです。
この「弱点を抱えて戦う無敵の英雄」というのが人気の所以だと思います。
ウルトラマンも3分間しか戦えませんし、仮面ライダーもスーパー戦隊も変身しなければただの人です。
「ええ! もう3分経っちゃうよ!? どうするんだろう……」
「ええ! 今変身できないよ!? どうするんだろう……」
と思いながら皆さんも見ていたはずです。
ジークフリートも初めて「ドラゴンの血を浴びた無敵の英雄。でも背中の一ヵ所を刺されたら死ぬ」って設定を見たら、
「ええ! めっちゃおもしろそうやん!」
って思いますよね?
ジークフリートが有名になったのは「ニーベルングの指環」の影響も大きいと思います。
ワーグナーがジークフリートの元となったシグルドの話をもとに作った楽劇で、「ニーベルンゲンの歌」と題名が似ているためよく混同されます。
ですが内容は全く別物で、シグルドの話をもとにしているため、神々の登場する神話のような壮大なスケールの物語になっています。
シグルドの話がもとになっているのですが、主人公の名前がジークフリートのため、「ニーベルングの指環」が有名になるに連れてジークフリートも有名になっていったんだと思います。
有名なエピソード
「ニーベルンゲンの歌」
史実の人間ではないので、出自となっている「ニーベルンゲンの歌」自体が有名なエピソードと言えます。
ここでは「ニーベルンゲンの歌」のあらすじを紹介します。
「ニーベルンゲンの歌」はジークフリートが死ぬまでの前編と、ジークフリートの妻であるクリームヒルトの復讐を描く後編とに分けられます。
ネーデルランド(ニーデルランド)の王子であり、竜を倒した英雄であるジークフリートは、絶世の美少女といわれるクリームヒルト姫の噂を聞きます。
クリームヒルトに求婚するため、クリームヒルトの住むブルグントの国を訪れたジークフリートは、戦争に参加して武功を立て、なんとかクリームヒルトに近づきますがなかなか結婚させてもらえません。
そんなある時、戦争でのジークフリートの活躍を見たクリームヒルトの兄の一人で、王でもあるグンターから相談を受けます。
アイスランド(イースランド)という国にブリュンヒルド(ブリュンヒルデとも)という美しい女王がいて、是非とも妻にしたいと。
しかし、ブリュンヒルドは怪力の女傑としても有名で、求婚してくる相手に「私に勝てたら妻になりましょう」と言って勝負をしかけ、負けた者は殺してしまうような人でした。
そこでジークフリートは、自身の持っている姿を消すことのできる隠れ蓑を使ってグンターを影ながら手助けし、ブリュンヒルドを打ち負かしました。
ブリュンヒルドは負けるはずの無い相手に負けてしまい、不本意ながらも結婚を承諾します。
そしてジークフリートも、グンターを助けたことで許しをもらい、やっとクリームヒルトと結婚することができました。
しかし、また問題が発生してしまいます。
せっかくブリュンヒルドと結婚できたグンターですが、不本意ながら結婚したブリュンヒルドは、初夜の前にグンターを縛り上げてしまいました。
これを聞いたジークフリートは、次の夜、グンターに変装して力ずくでブリュンヒルドを組み敷きました。(処女の印である腰ひもと指輪を抜き取ったとも)
それ以来ブリュンヒルドは、グンターに従うようになりました。
幸せな結婚生活が続くかと思われた数年後、ジークフリートと共にネーデルランドで暮らしていたクリームヒルトがブルグントの国に里帰りしてきました。
しかしそこで、クリームヒルトとブリュンヒルドがどちらの夫が優れているかで喧嘩になってしまいます。
大勢の人がいるなか、怒ったクリームヒルトは「ブリュンヒルドの処女を奪ったのは変装したジークフリートである」ことを暴露してしまいます。(腰ひもと指輪を見せてしまったとも)
大ショックを受けたブリュンヒルドは、泣きながら自室に籠ってしまいます。
自国の王妃が恥辱を受けたことを知ったブルグントの騎士団たちは大激怒。
そしてこのことに目を付けたのが、ブルグントの重臣であるハーゲンです。
かねてよりジークフリートの財宝を狙っていた彼は、この事件をいい事にジークフリート討伐に乗り出します。
そしてクリームヒルトに近づき、言葉巧みにジークフリートの弱点を聞き出します。
「背中に一ヵ所だけドラゴンの血を浴びていない場所がある」と……
クリームヒルトを騙したハーゲンは、さらにジークフリートの服に印を付けるよう、クリームヒルトに命じます。
そして、王であるグンターを通じて「敵国が攻めてきた」とジークフリートに嘘の援軍要請を出し、おびき出します。
やがて親切心で助けにやってきたジークフリートに「やはり戦争は無くなった」と告げると、グンターと共に狩りに行くように提案します。
怪しんだクリームヒルトは止めようとしますが、ジークフリートはそれを笑い飛ばし、グンターと共に狩りに出かけてしまいました。
グンターとの狩りを楽しんだジークフリートは、のどの渇きを覚え、ハーゲンに泉の場所を聞きます。
ハーゲンの案内で泉に到着したジークフリートは、水を飲もうと泉に近づき、ハーゲンに背を向けて身を屈めました。
ハーゲンがジークフリートの背中を確認した次の瞬間、 クリームヒルトが付けた背中の印を槍が貫きました。
唯一の弱点を突かれた「不死身の英雄」は息絶え、愛剣バルムンクと財宝はハーゲンの手に渡りました。
クリームヒルトが通う教会に、見せしめるように死体を置いたハーゲンは、ジークフリートから奪った財宝がクリームヒルトに渡らないようにライン川に沈めて隠してしまいました。
とても長くなりましたが、これが前編のあらすじです。
竜殺しの英雄が主人公でありながら、恋の話がメインですね。
後編では、ハーゲンがジークフリートを殺したことを知ったクリームヒルトが、復讐のためにフン族の王エッツェル(モデルは「神の鞭」と呼ばれた「アッティラ」。そうFateにも登場する「アルテラ」です。)と結婚します。
そしてハーゲンたちをエッツェルの城に招待し、部屋に閉じ込め、殺しにかかります。
最終的にグンターとハーゲンだけが生き残り、生け捕りにします。
クリームヒルトはハーゲンがライン川に沈めた財宝の場所を聞き出そうとしますが、ハーゲンは「主人が生きている限りは口を割らない」と話そうとしません。
そこでクリームヒルトは、自分の兄であり、ハーゲンの主人でもあるグンターを殺しました。
しかしハーゲンはそれでも話すのを拒み、怒ったクリームヒルトはついに剣をとってハーゲンの首を刎ねました。
その剣は、ジークフリート亡きあとハーゲンが所持していたバルムンクでした。
敵とはいえ無抵抗の相手を切ったのを見た老騎士ヒルデブラントは、その行為に激高し、クリームヒルトを斬りました。
残されたエッツェルと戦士たちは、累々の屍の中に立ち、悲しみに暮れていました。
誰も幸せにならない、悲しいラストですね。
「ニーベルンゲンの歌」はまたの名を「ニーベルンゲンの災い」と言います。
なぜ冒頭にしか出てこないニーベルング族がタイトルになっているのかと議論になっていたりしますが、ジークフリートがニーベルング族から手に入れたバルムンクや財宝のせいでみんな死んだと考えると、ジークフリートに殺されたニーベルング族の災いかもしれませんね。
すまない……オレがニーベルング族を殺したせいで、本当にすまない……。
全部読んでみたい方は日本語訳が出ているので、一度読んでみてはいかがでしょうか。
こちらが写本Bを訳したもの
こちらが写本Cを訳したものです。
写本Bが原典に近く、写本Cは時間軸などの矛盾点が少ないが当時写本を作った人の脚色が入っていると言われています。(写本Bに比べてクリームヒルトに肩入れしていて、ハーゲンを完全な悪者扱いしている)
日本語訳の方も写本Cの方が現代語的な訳し方をされていて、読みやすくなっています。
ドラゴン退治
すでに度々話が出てきていますが、やはりジークフリートで特に有名なエピソードはドラゴン退治でしょう。
このドラゴンを倒したことによって、ジークフリートは「不死身の英雄」となりました。
しかし、有名なわりに「ニーベルンゲンの歌」ではドラゴン退治のシーンはあまり出てきません。
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関係する事柄
シグルド
ジークフリートと起源が同じ、もしくは同一人物とされる北欧神話の英雄。シグルズとも呼ばれます。
父は英雄のシグムンド。
シグムンドが死に、妊娠していた母親がデンマーク王と再婚したあとに産まれた子供。
当時の慣例に従い、身分の低い鍛冶のレギンの養子となりました。
シグルドは、レギンの頼みで、鍛え直してもらった父の形見である折れた名剣「グラム」を携え、ファヴニール(ファフニール、ファーブニルとも)というドラゴン退治の旅に出ます。
冒険の末、シグルトはファヴニールを倒します。
そして倒したファヴニールの心臓の血を飲むと、たちまち頭が冴え、動物の声がわかるようになりました。
鳥のさえずりから、ファヴニールの財宝を独り占めしようとするレギンに利用され、裏切られることを知ったシグルドは、レギンを殺し、財宝と共に旅に出ました。
そして、その旅の途中で、炎の中に閉じ込められたワルキューレ、「ブリュンヒルデ」と出会い、恋に落ちます。
しかし、シグルドと王女グズルーン、ブリュンヒルデと王子グンナルを結婚させたい王妃グリームヒルドの策略により、シグルドは忘れ薬を飲まされ、ブリュンヒルデは騙されて結婚させられてしまいます。
騙されたことに気付いたブリュンヒルデは、グンナルに「シグルドかグンナルか私の誰かが死ななければならない」と告げます。
グンナルは弟に相談しますが、義兄弟の契りをシグルドと交わしていることを理由に断られます。
しかし、もう一人の弟は義兄弟の契りを交わしていなかったため、こちらの弟にシグルドを殺させ、シグルドの冒険は幕を閉じます。
ざっくりとシグルドのストーリーを書きましたが、ジークフリートのストーリーと全然違うという事がよくわかりますね。
ドラゴンを倒し、血を飲んで(浴びて)能力を得るという点では似ていますが、ジークフリートが騎士道物語のような雰囲気なのに対し、シグルドはオーディンやロキ、ワルキューレなどの神々が出てくる神話のような話になっています。
起源が同じとはいえ、ここまで違うと同一人物扱いするのはちょっと厳しい気がしますね。
さて、Fateの方にもシグルドが出てくるわけですが、Fateの世界においてはジークフリートとシグルドは別人です。
「ニーベルンゲンの歌」のジークフリートがFateのジークフリートと明言されているため、親もストーリーも違うシグルドは別人ということになりますね。
しかし、ブリュンヒルデが似ていると言っていたり、どちらもファヴニールを倒していたり、バルムンクの 原典がグラムという設定になっていたりするなど、無関係ではないようです。
現実のシグルドとジークフリートと同じように、「元々の起源は一緒だけど違う物語を辿った別人」という感じでしょうか。
バルムンク
ジークフリートがニーベルング族とのいざこざで手に入れたジークフリートの愛剣です。
黄金の柄に青い宝玉が埋め込まれた剣と言われています。
他の英雄の剣のように特殊な能力はありませんが、ドラゴンを倒したドラゴンキラーとして有名です。
Fateにおいてはジークフリートの宝具として登場し、柄の青い宝玉に貯めこんだ魔力を使用することができたり、他の宝具に比べて連発がしやすいという特徴があります。
Fateにおいても現実においてもシグルドが持っている「グラム」という剣が元になっていると言われています。
シグルドがファヴニール退治に使用した剣として有名なグラムですが、元々の持ち主はお父さんのシグムンドでした。
シグムンドの妹の結婚式の最中、突然オーディンが現れ、庭の木に剣を突き刺しました。
「抜いてみせた者にこの剣を授ける」というオーディンの言葉に、シグムンドの兄弟たちが挑戦しますが、誰一人抜くことができませんでした。
しかしただ一人、シグムンドのみが触れただけで剣を抜き、オーディンからグラムを授かることになりました。
その後、ラグナロクに備えてシグムンドが欲しくなったオーディンは、戦争中のシグムンドの前に敵兵の姿で現れ、グラムごとシグムンドに傷を負わせて殺し、折れてしまった「怒り」という名の名剣「グラム」はシグムンドの息子、シグルドへと受け継がれることになりました。
この「刺さっている剣を抜いた者が選ばれし者」という明らかに「エクスカリバー」みたいな逸話から、「グラムがエクスカリバーの元ネタなんじゃね?」なんて言われることがありますが、正確なことはわかりません。
もしかしたら現在では失われてしまった、さらに古い伝説があって、グラムもエクスカリバーもそこからパクっているのかもしれません。
ちなみに「ニーベルングの指環」では、「ノートゥング」という名前で登場します。
ブリュンヒルデ
元々はシグルドの物語に登場した時のように、戦士の魂をヴァルハラへ導くワルキューレです。
シグルドの物語を描いた「ヴァルスンガ・サガ」と「ニーベルングの指環」ではシグルド(「ニーベルングの指環」ではジークフリート)と夫婦になっています。
「ニーベルンゲンの歌」ではブリュンヒルドという名で登場しますが、名前も微妙に変わっていて設定もほぼ変わった別人になっています。ジークフリートとも結婚しません。しかも後半になったら出てきません。かわいそう。
Fateに登場しているのはシグルドの物語に出てくる方です。
なのでジークフリートと直接の面識はありませんが、やはりシグルドに似たものを感じようでターゲットにされています。
古い伝説では、「ブリュンヒルデは死んだ後、ワルキューレに戻り、冥界に下りて死んだシグルドと暮らした」という記述もあるようですが、Fateでは愛憎入り混じった状態なので死に別れたままなんでしょうね。
ファヴニール
シグルド、もしくはジークフリートによって倒されたドラゴン。
敵役ながら、その血が主人公の助けとなりました。
FGOにおいて、翼を持った巨大なドラゴンの姿で登場しました。
しかしFGOで登場した時の様な、いかにも「ドラゴン」という感じの記述もあれば、脚や翼を持たない蛇のような形であるという記述もあり、どちらの記録も混在しています。
これは、まだ昔はドラゴンのイメージが固まっていなかったために起こる事例だろうと言われています。
シグルドの物語においては、財宝を抱えたドラゴンとして登場します。
しかしその正体は、父親から財宝を強奪し、財宝を独り占めするためにドラゴンに姿を変えたレギン(シグルドの養父)の兄でした。
そして、兄と同じように財宝を独り占めしようとしたレギンによって送り込まれたシグルドに殺されてしまいます。
その血はシグルドに智慧と動物を会話する能力を与え、財宝はシグルドを死に導きました。
Fateの小説で、シグルドが倒したファヴニールは「悪竜現象」という言葉で出てきました。
「悪竜現象」が何なのかははっきりしていませんが、ファヴニールを殺したりした人が徐々にファヴニールになってしまうことではないかと言われています。
それなら一匹しかいないはずのファヴニールが、シグルドにもジークフリートにも倒されているという矛盾が無くなりますね。
あれ? そういえばすまないさん、だんだんドラゴンっぽくなってない?
シグルドの物語(「ヴァルスンガ・サガ」)では、ブリュンヒルデに会うまでの前半のメインイベントのような扱いをされているファヴニールですが、ジークフリートの物語、つまり「ニーベルンゲンの歌」ではほぼ出てきません。
ハーゲンがジークフリートの紹介をする時に
「この勇士は昔ドラゴンを倒したことがあって、その血を浴びたせいで体が甲羅のように硬く、不死身になった」
と、説明するだけです。
なんと、名前すら出てきません。
ほんとにファヴニールなのかもわかりません。
しかしこれは一番原典に近いと言われる写本Bの話。
本文の無い「内容目録」である写本mではもう少し活躍が書かれています。
本文が無いのであらすじしかありませんが、「一匹の荒々しい竜」がブリュンヒルド(ほんとは違う名前で書かれているそうですが、ブリュンヒルドのことらしいです)を誘拐したので、ジークフリートが助けに向かい、苦労してこれを倒したという話があるそうです。
なんということでしょう
ここでも名前がありません
「ジークフリートと戦ったドラゴン」として有名なファヴニールですが、本当にジークフリートが倒したのはファヴニールなんでしょうか?
「ニーベルングの指環」
ワーグナーが書いた楽劇で、完成に26年、上演に15時間かかる超大作です。
通常4日間に分けて上演されます。
「ニーベルンゲンの歌」とタイトルが似ていること、主人公がジークフリートであることからよく混同されます。
私も詳しく知るまで同じだと思っていました。
「ニーベルンゲンの歌」は恋と復讐劇の話ですが、「ニーベルングの指環」は魔法の指環をめぐる、神々や英雄の戦いを描いたファンタジー巨編となっています。
「ニーベルンゲンの歌」より「ヴァルスンガ・サガ」に近いストーリーです。
「魔法の指環をめぐるファンタジー」という点で「指輪物語」を彷彿とさせますね。(ちなみにですが「指輪物語」の方が後です)
主人公はジークフリートですが、設定はシグルドです。
ジークフリートは、指環を手に入れてドラゴンの姿になった巨人族「ファフナー」(ファヴニールに相当するキャラ)を倒しますが、ここで手に入れるのは「不死身の肉体」ではなく、「動物の言葉が解る」能力です。
他にも、父が残した折れた名剣「ノートゥング」を持っていたり、ブリュンヒルデと恋仲になったりと完全にシグルドです。
全くストーリーが違うジークフリートとシグルドを同一人物扱いしてしまっているのはこのせいもあるのかもしれませんね。
映画「地獄の黙示録」の影響で、ヘリが登場する時の曲として有名な「ワルキューレの騎行」は「ニーベルングの指環」の第二部で演奏される曲です。
個人的にはこち亀の爆竜大佐のイメージですが、最近だと「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」でも使われていましたね。
ちなみにですが、あの「銀河鉄道999」で有名な松本零士先生がキャプテン・ハーロックを主人公にした、いわば「SF版ニーベルングの指環」を書いています
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ジークフリート紀行
ニーベルンゲン=ジークフリート街道
「ニーベルンゲンの歌」の舞台であるドイツで設定されている観光街道(ほんとの道ではなく観光コースのような意味)の一つです。
北側を通るニーベルンゲン街道と南側を通るジークフリート街道の二つを合わせて「ニーベルンゲン=ジークフリート街道」と呼びます。
ジークフリートは史実の人物ではないので、ジークフリートの住んでいた城やバルムンクが見れたりはしませんが、「ニーベルンゲンの歌」の舞台となった地を巡ることができます。
二つの街道のスタートとなるのは、「ヴォルムス」という街です。
この街は昔、ブルグント王国の首都でした。
そうです、クリームヒルトに会うためにジークフリートが訪れた国です!
この周辺がジークフリート最期の地でもあります。
また、この街にある「ヴォルムス大聖堂」がクリームヒルトとブリュンヒルドの喧嘩が起こった場所でもあります。
世界史でも習う宗教革命で有名な「マルティン・ルター」が破門を言い渡されたのもこの大聖堂だとか。
この街には他にも、ニーベルンゲン博物館やライン川にハーゲンが財宝を沈めようとしている像があります。
ジークフリートが好きなら一度訪れてみたい街ですね。
ちなみにこのハーゲンが沈めた財宝というのが、Fateでのジークフリートの宝具の一つとなっている「ラインの黄金」の元ネタです。(名前の元ネタはおそらく「ニーベルングの指環」の第一部のタイトル)
また、この街道には世界遺産である「ロルシュの修道院とアルテンミュンスター」があるロイシュという街も含まれています。
この「ロルシュの修道院とアルテンミュンスター」の近くにある博物館には、なんと! ジークフリートの棺があるというではありませんか!
叙事詩の中の人物のはずですが、お墓があったんでしょうか?
この棺に書かれている博物館の説明文によると、写本Cの中にロルシュ修道院が埋葬場所と書かれているそうです。
もしかしたらジークフリートにはモデルになった人物がいるのかもしれませんね。
ロルシュ修道院(この写真は有名な「王の門」とは別の建物)
めちゃくちゃどうでもいい豆知識
青森県青森市にはまさに「ジークフリート」という名前のケーキ屋さんがあります。
実は私が「ジークフリート」という名前を知ったのはこのお店が最初です。
「ジークフリート」という名前のわりにジークフリートに関係したものはありませんが、「青い森」というお菓子がオススメです。
甘いスポンジで、細かいチーズが混ぜこまれたバタークリームを挟んだお菓子です。
甘さとしょっぱさのバランスがちょうどよくて、昔から大好きなお菓子です。
店舗に行かなくても駅などのお土産コーナーでばら売りされていることもあるので、青森に来る機会があれば是非どうぞ。
長年父親に「昔、ゆけ~ゆけ~、ジークフリート!っていうCMソングがあったんだよ」って言われてきましたが、数年ほど前にそれはCMソングなんかではなく「UFOロボ グレンダイザー」のオープニングだということに気付きました。
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