そのキャラの元ネタを知れば絶対好きになる!
実在の名所や、豆知識と共にFate/Grand Orderに登場するキャラのモデルとなった人物を紹介していきます。
きっとそのサーヴァントがどういう人物だったのか知れば、辛い攻略も周回も楽しくなるはずです!
今回は赤セイバーことネロ・クラウディウスです。
※この記事は、筆者が本やインターネットを使って独自に調べてまとめたものであり、型月的、学術的に必ずしも正しいとは限りません。暇つぶし程度にお読みください。
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どんな人?
ローマ帝国第5代皇帝。Fateでは女であるが男。
フルネームは「ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス」
または「ネロ・クラウディウス・カエサル・ドルスス・ゲルマニクス」と結構長い。
在位は西暦54年から68年で、1世紀のころの人物。
母の兄がローマ帝国第3代皇帝、カリギュラである。
ネロの母は、しばらくの間カリギュラによって島流しにされていたが、カリギュラが暗殺されるとローマに戻ってきた。
そして出世欲の強かった彼女は、自分の息子であるネロを皇帝にするため、時の皇帝であるクラウディウスに近づいた。
叔父と姪という関係であったが、無理やり結婚した。これによりネロは皇帝の養子となった。
その後もクラウディウスの娘であるオクタヴィアとネロを結婚させたり、クラウディウスの後継者であったブリタンニクスを遠ざけるなど様々な手を打った。
そして、皇帝は倒れた。
ネロの母が料理に毒キノコを盛ったとも言われている。
皇帝亡きあと、養子であったネロが第5代ローマ皇帝へ即位した。
当時17歳である。
異例の若さで皇帝となったネロは、家庭教師で哲学者であるセネカや近衛騎士団長のブルスなどの助けを得ながら、ネロが皇帝になってから最初の5年間はローマ帝国最良の時代であるとのちに言われるほどの優れた治世を行います。
若くて親しみやすいこともあったのか、当時のローマ市民にも大人気でした。
死刑執行の書類に署名を求められた際、「文字など覚えなければよかった」と泣きながら嘆いたと言われています。
そんな、芸術を愛し、芸人になることに憧れた若き「名君」は、次第に「暴君」へと変貌していきます……
なんで有名なの?
母を殺し、義弟を殺し、1人目の妻に自殺を強要し、2人目の妻をお腹の子供ごと蹴り殺し、世話になった元家庭教師の哲学者を失脚させて自殺させ、ローマが大被害をうけた「ローマの大火」ではキリスト教徒を放火犯として迫害したため「暴君」として有名になりました。
母親に無理やり結婚させられたオクタヴィア(のちに2人目の妻と結婚するために離縁し、自殺を強要される)が気に入らなかったネロは、解放奴隷のアクテを好きになります。
しかし、このことに怒ったネロの母親は、自分に反抗しだしたネロの代わりに、元々皇帝になるはずだった前皇帝の息子であるブリタンニクスを皇帝にしようとします。
それに気付いたネロは、義弟であるブリタンニクスと母を殺しました。
ましてやネロの母は、芸術を愛し詩人や芸人に憧れたネロを無理やり皇帝にしただけでなく、皇帝になってからも公務にもプライベートにもさんざん口を挟んできたそうなので、我慢の限界だったのでしょう。
しかし身内を殺すというのは他の皇帝もやっていることで、ネロが特別なわけではありません。
有名なエピソード
ローマの大火
ネロが最も「暴君」と言われる所以は、「ローマの大火」です。
ローマ市の3分の2を焼いたこの大火事で、ネロはキリスト教徒を犯人とします。
このことを後にネロと仲の悪かった元老院側の歴史家が批判的に書いたこともあって、キリスト教の時代が来てから「確固たる証拠もないのにキリスト教徒を迫害するとはなんて悪い奴なんだ」と「暴君」と言われるようになりました。
当時、ネロには噂が立っていました。
「ネロは新しい街を作りたくて火を付けた」んじゃないかと。
大火事が起きた当時、ネロは別荘にいました。
しかし火事の報せを聞くと、すぐにローマへと戻り、陣頭指揮を執って逃げ惑う人のために自分の庭園を開放するなど迅速な対応をしました。
そして鎮火したあとも今後このような被害を出さないために、新しく作る建物に隣家と壁を共有せずに固有の壁にすることや階数に制限を設ける、消火用の水道を巡らすなど尽力しました。
それにも関わらず、噂は止みませんでした。
「大火の時ネロは、宮殿で舞台に立って故事になぞらえて「トロイアの陥落」を歌っていた」という噂もありました。
そしてネロは、この大火事の犯人を公表します。
キリスト教徒であると。
そして捕まったキリスト教徒たちは、当時肉体が無くなるので天国に行けないと考えられていた火刑に処させるなどして処刑されました。
当時少数派であったキリスト教徒は、これで有名になりました。
そしてネロは、歴史上で最初にキリスト教徒迫害を行ったローマ皇帝になりました。
このころ、ネロはキリスト教の聖人も処刑したと言われており、それも相まって「反キリスト的な暴君」と言われるようになりました。
確かに迫害したのはひどいですが、当時あまりに火事の被害がすごかったため市民が騒ぎそうになっており、適当な犯人を設ける必要がありました。
そこで当時、多神教が信じられていたローマでは邪道で、仕事もせずに集会をして気味悪がられていたキリスト教徒が使われたのかもしれません。
ネロ祭
FGOでイベントにもなっていた「ネロ祭」ですが、本物のネロが本当に開催していました。
まず最初に「青年祭」という私的な祭典が開かれました。
そこで思う存分歌を歌って、竪琴を弾きました。
それで調子に乗ったのか、今度は4年に1度開催されるオリンピア祭(オリンピックの原型)に対抗して5年に1度開催される「ネロ祭」を開きます。
あらゆる種目が存在し、ネロは詩、弁論、竪琴に出場します。
元老院は勝とうが負けようが優勝ということにしようとしたそうですが、ネロは堂々と出場して勝利すると、これを拒否しました。
ちなみにオリンピア競技にも参加したそうですが、この時は主催者側が出来レースにしており、様々な不正で優勝したため大批判されたそうです。
特に戦車では落下して脱落になりながらも優勝したようです。
Fateではこのエピソードから来ているのか、元々はライダーが適正クラスらしいです。
「皇帝特権」というスキルで無理やりセイバーになったとか。
その後、世界最大とされていたポンペイウス劇場にて独唱会を開きます。
しかし、1回目は途中で地震が起きたため観客に逃げられてしまいます。
そして2回目、今度は逃がさんぞと観客を中に入れたらすべての入り口に人員を配置し、封じました。
しかし観客にとっては地獄でした。
あまりにもつまらないのです。
聞きたくもない歌や演奏を無理やり聞かされ、さながらジャイアンのリサイタルです。
親友は居眠りをし、客はなんとか逃げようと必死に壁をよじ登ります。
逃げられないのなら運び出されてやろうと死んだふりをする人もいました。
これが赤セイバーの宝具の「誰も外に出られない空間を作る」という能力の元ネタです。
前回のネロ祭から5年経って、2回目のネロ祭が開催されました。
またもネロは、詩や竪琴の種目で出場しました。
このころ、元老院の議員たちや騎士たちにも芸を披露することを強制したので、議員や騎士たちから反感を買うようになってしまいました。
男色
色々と性関係の話の多いネロですが、男の解放奴隷と結婚したという話が残っています。
意外と偉い人が自分より身分が下の人とそういう関係になるって話はあるんですが(戦国武将でも何人かそういう話のある人がいます)ネロの話で珍しいのは、自分が女装をして結婚式をしたということ。
つまり花嫁になったんですね。
この話がおそらく嫁セイバーことセイバー・ブライドの元ネタだと思います。(しかしFateにおいてこの話を見かけないので関係無い可能性が高いです)
ちなみに逆のパターンもあります。
ネロは夫婦喧嘩で2人目の妻ポッパエアを殺してしまったことを悲しんでいました。
そして悲しみのネロは、ポッパエアに瓜二つの少年を見つけます。
そしてこのポッパエアにそっくりの絶世の美少年を去勢し、絶世の美少女とすると、皇后の服を着せて自分の妻としてしまいました。
最古の男の娘と言えるんじゃないでしょうか?
ネロの最期
穀物の価格が高騰し、市民が食料に困っているローマにエジプトからの輸送船が到着します。
国民は穀物が来たと喜びましたが、実際の中身は闘技場用の砂でした。
この事件で国民は大激怒。
元々支持率が下がっていて対立関係にあった元老院は、以前反乱を起こした総督を次の皇帝とし、ネロを「国家の敵」に認定します。
ネロは逃亡し、解放奴隷の家に逃げ込みました。
しかし騎兵隊の足音は迫ってきます。
ネロは剣を手に取り、「ああ、なんと惜しいことか。この世からこんなにも優れた芸術家が消えてしまうとは」と、ためらいながら喉を刺しました。
ネロの死後、ネロを追ってきた百人隊長がネロの死体へと近づきます。
すると、明らかに死んでいるはずのネロの目が突然開き、
「遅かったな。だが、大儀である。」
と言って息絶えました。
この逸話が赤セイバーのスキル「三度、落陽を迎えても(インウィクトゥス・スピリートゥス)」の元ネタです。
その後、ネロは記録抹消罪(すべての記録を抹消し、存在を無かったことにされる)にされました。
しかし、ネロのお墓には大量の花やお供え物が絶えることはありませんでした。
Fateでは、わがままで身勝手な、しかしどこか愛おしいキャラである赤セイバーことネロ・クラウディウス。
ローマ市民も同じように思っていたのかもしれませんね。
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関係する事柄
黄金宮殿(ドムス・アウレア)
ネロが「ローマの大火」で焼け野原となった場所に作った広大な宮殿です。
これを作ったことで「この宮殿を作るために火を付けたんだ」という噂が絶えませんでした。
広大な庭園に、「ローマの大火」での教訓からかローマン・コンクリートでできた革新的な建物が建つ、広大な宮殿でした。
天井から花びらや香水が降り注ぐ食堂や空と同じように回転するドームがある豪華な宮殿でしたが、ネロの死後に火災に会い、土地が次々と公共施設のために利用されたので、ほとんど無くなってしまいました。
赤セイバーの宝具「招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)」の元ネタです。
能力の元ネタは上で紹介したエピソードですが、直接のモチーフはこっちです。
ブーディカ
現在のイギリスに位置するブリタンニアのケルト人の女王。
自分の夫である王が死ぬと、ネロが統治するローマ帝国はブリタンニアを蚕食してブーディカたちを辱めました。
それに激怒したブーディカは、多数の部族をまとめ上げて大反乱を起こしました。
まさに嵐の如く破壊の限りを尽くして突き進む「勝利」の名を持つブーディカは、ローマ帝国に敗れながらも、イギリスで「勝利の女王」として広く知られる事となります。
獣の数字
中二病が大好きな「666」という数字のこと。
「新約聖書」の世界の終末を描いた「ヨハネの黙示録」という部分に一定期間世界を支配する「獣」が登場する。
その「獣」が
「この数字を右手か額に刻印してない奴は物を売ったり買ったりできなくしてやる」
という数字である。
この数字が何なのかというと
「この刻印とはあの獣の名、あるいはその名の数字である。ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は六百六十六である。」
というクイズらしいので、今まで色んな人が考えました。
その結果、現在最も有力視されているのが皇帝ネロ説。
この「獣」というのは「赤い竜」から力を受けているのだが、この「赤い竜」というのがローマ帝国を表しているという説があり、ローマ帝国から力を受けていて経済を動かせるということはローマ皇帝であろうと言われていて、「ネロ」という名前をギリシア語にして、ヘブライ語にして、数字にして、足すと「666」になるのでネロの事だ!と言われている。
文の意味とも合ってるし、ネロはキリスト教の迫害をやってキリスト教徒に嫌われてたのでネロの可能性が高いと言われています。
しかし、最近「616」説が出てきました。
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ネロ・クラウディウス紀行
黄金宮殿(ドムス・アウレア)
上でも紹介した、ネロの作った宮殿です。
火事のあとほとんど無くなってしまいましたが、
この浴場を作る際に埋められ、現在は地下に一部が残っているそうです。
以前までは観光ができたそうなんですが、最近は痛みが激しく、基本的には公開されていないようです。
From wikimedia Commons/File:Da statue hh.jpg 12:58, 9 February 2007(UTC)License=CC BY-SA 2.5
これが内部の写真。
少し古い写真ですが、結構傷んでいるのがわかりますね。
場所はコロッセオのすぐ近くです。
実はその有名なコロッセオ、元々その場所には黄金宮殿(ドムス・アウレア)の庭園の人工池があったんです!
コロッセオが建てられたのはネロの死後ですが、世界遺産を訪れるついでにネロに思いをはせてみてはいかがでしょうか?
めちゃくちゃどうでもいい豆知識
皆さん、お菓子は好きですか?
そうですか、では辛い物は?
なるほど、なるほど、両方好きですか。
そんなあなたはどんなお菓子が好きですか?
え、カラムーチョ?
そんなもの食べてるんですか?
辛い物好きだったらこれでしょう!
暴君ハバネロでしょう!
この未成年お断りスナック(公式では一切そんなこと言ってません)、おいしいですよね。
程よく強い刺激で、辛い物好きでも満足感が得られますよね。
全然気付いてなかったんですけど、この「暴君ハバネロ」って名前、「暴君ネロ」から来てたんですね……
「暴君」としてのネロのイメージと、未成年お断り(何度も言いますが公式ではそんなこと言ってません。ホームページにも書いてる)の辛さがマッチして非常に良いネーミングだと思います。
普通に辛くておいしそうだなって思って買ってたんですけど、最初から名前に気付いていれば「ジャケ買い」ならぬ「名前買い」してたと思います。
書いてたら食いたくなってきたな……
今度買ってこよう
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